

河辺 さち子
満目の芒が原となる宮址
名苑の点景となる二羽の鴨
行楽の人出もみぢの色を追ふ
飛火野の広さを分かつ鹿の群
赤に黄に風の彩る散もみぢ
朝の日に二人の影や大根引く
まどろみの稚に夕日や冬あたたか
子の彼女笑まふ会釈や冬ぬくし
独り居のぼつぼつ始む冬支度
大根煮る昭和歌謡を流しつつ
妣の物羽織るひと日や冬ぬくし
新酒酌み呼び名飛び交ふ同窓会
割木積み山家は長き冬にいる
生島陽子
松坂由美子
清水正浩
古谷孝子
西村操
蒲田雅子
幸田素子
尾崎みつ子
気にかかる案件一つ大根煮る
くしやくしやの母の笑顔や大根畑
新蕎麦の皿の絵文字のつるつると
大き猫と見えて狸や通勤路
冬暖や社務所の窓の開きしまま
まの当り隠しもあらで鵙の贄
大根を番へて竿に吊しけり
思ひ出の浮かびては消ゆ石蕗の花
野田光江
清水昌子
二宮桃代
松谷一枝
生島久夫
荻巣純子
蒲田豊彦
大野雅子
蹲踞の水清らかに散紅葉
阿弥陀堂紅葉明りに扉を開く
散もみぢ傘寿の抱く曾孫かな
初しぐれ銀閣寺まであと五分
親鸞の荼毘の跡訪ふ冬紅葉
兄在せば故郷のみかん届くころ
独り居の大嚏してをなごとぞ
豊泉白水
蒲田雅子
安田富子
尾崎みつ子
山田恵美子
松坂由美子
西村操
バイオリンの発表会や孫の秋
立岩に波頭砕けて冬怒濤
子供より親の緊張七五三
伊勢の御の文机とあり照紅葉
介助犬頬を寄せ来るバス小春
はつしぐれ華やぎもあり淋しさも
紅葉散る鳥獣戯画の寺の庭
垣内たかし
蒲田豊彦
荻巣純子
生島陽子
福田日支朗
生島久夫
長嶋吐夢
月冴ゆやきらめく街を眼下に見
散紅葉手延べ硝子に揺らぎをり
自販機の赤いランプや冬来る
ぽとり落つ射的のおもちや酉の市
酉の市手締めしてゐる異邦人
風除や舟板塀の高き町
大野雅子
幸田素子
小森道子
清水昌子
清水正浩
二宮桃代
旅の途の三本締めや酉の市
石仏をしばしあたたむ秋日かな
石蕗の花枯山水に日を弾く
風除も無く砲台の寂れやう
風除や子の選択を尊重し
酉の市喪中はがきの届きをり
野田光江
濵田浩子
藤原たけじ
古谷孝子
松谷一枝
山田泰子